- 井上 卓哉 (開成高等学校3年)
ロシアのカザンは昨年の大会が行われたカザフスタンに文化的に近いと思い,出発前もあまり心配していませんでした.水道設備は良くありませんでしたが飲料水は十分に配られ,食事も最後の方は飽きてしまいましたがまずくはありませんでした.ベッドは狭く朝は早くに日が昇るため若干睡眠不足気味でしたが体調を崩すこともありませんでした.環境面は全体として可もなく不可もなくという感じでした.
今回の大会では競技の日の夕方にも観光が用意されていました.到着の翌日と競技 1 日目に行ったカザンクレムリン,観光 2 日目に行った川にある半島のようなところはそれぞれ建物,景色が綺麗で良いところでした.ほかの観光は正直いまいちでしたが,早めに切り上げて翌日の競技に備えることもできたためかえって良かったかもしれません.
ロシアの人たちはとても親切で優しい人が多かったです.特に韓国チームのガイドさんは絵を描いたり,日本のガイドがどこかに行ってしまった時に案内したりしてくれてとてもお世話になりました.
コンテストの問題はどれも面白い問題でした.初日は満点を取った人が 1 人しかいない問題で満点に近い点数を獲得できました.国際大会でこのような問題が解けたのは初めてだったので嬉しかったです.2 日目の競技は,上位陣はみんな手堅く260点を固めていてコンテスト的にはあまり面白くなかったかもしれませんが,問題は面白く,落ち着いて取り組めて楽しかったです.結果としてひとつの目標にしていた 1 桁順位を獲得できて嬉しく思っています.
閉会式後のパーティーの最後にはサプライズとして打ち上げ花火が用意されていました.とても綺麗でした.
最後になりましたが,谷聖一先生,伊藤哲史先生,同行していただいたチューターの方々にはとてもお世話になりました.ありがとうございました.
- 髙谷 悠太 (開成高等学校2年)
まず,初日は直前学習会で IOI の過去問を 1 つ実装して,気分を高めました.
次の日は 1 日中飛行機で移動だったので,ずっと寝て疲れを取りました.
そして,2 日目はカザンクレムリンに行って弓を撃ちましたが,意外と重くて驚きました.
翌日,practice round で問題を解きましたが,開会式の光や音がとても強くてまいってしまいました.
そして,競技 1 日目を迎えたのですが,簡単な 1 問以外を解くことができず,悔いの残る結果となりました.競技 2 日目も全然差がつかなかったので,全体としても微妙な結果になってしまいましたが,実力を知ることができたので,これを忘れずに IOI に焦点を合わせて対策していきたいと思います.また,観光も異文化交流がメインでしたが,疲れていたのであまり積極的に参加できませんでした.ただ,日本とは違う独特なロシアの街並みや民謡に触れることで,ロシア文化を感じることができました.
最終日は farewell party で去年会った選手やコンテストサイトで知っている人と交流することができたので楽しかったです.締めくくりの花火も驚かされ,きれいでした.
来年は IOI に焦点を合わせてやれることを全部やりたいです.
- 川﨑 理玖 (筑波大学附属駒場高等学校2年)
今回の IOI は自分にとって最初の IOI となったわけですが,目標の金メダルには全然届かなくて,銀メダルでした.当り前のことですが,ゆるふわな大会ではないということをしっかりと認識しました.また,競技はもちろんのこと,それ以外においてもかなりタフな大会であると感じました.とりあえず,覚えている範囲で起こった出来事を書き連ねたいと思います.
まず,カザンに到着した日の翌日,随行員と IC の人達と一緒にカザン・クレムリンの観光に出かけました.弓矢の体験をしたのが印象に残っています.周辺を散策した後,帰るころにはもうへとへとに疲れていました.宿泊所の寮に戻ったあと,日本のアニメが好きだという韓国チームのガイドと知り合って交流しました.
プラクティスの日は,プラクティス会場で韓国ガイドの人が絵を描いているのを僕が見つけて話しかけました.すると,なんとその絵をプレゼントしてくれました.JOI の写真速報のページで,絵をもらった時の写真を見ることができます(写真で絵を持っているのは僕ではないです).昼食後は,オープニングセレモニーが開かれました.ちょっとした手違いがあって,副団長が日本選手団と離れたところにいたのがかわいそうだなと思いました.
競技 1 日目は,一言で言って絶望でした.競技では,まず,簡単な 1 問目で満点を獲得しました.つぎに,2 問目と 3 問目を考えました.2 問目は自明な部分点しかわかりませんでした.ですが, 3 問目は,O(Nlog^2N) 解法が見えてきました.これは,満点こそ取れないものの,90 点は取れそうでした.この方針は実装が大変そうなので,とりあえず,2 問目の自明な部分点を片付けました.この時点で 2 時間 30 分くらい残っていた気がします.30 分かけて 3 問目の方針を詰めて,実装に移りました.しかし,いろいろバグりまくって,全然進まないまま1時間たってしまいました.そこであきらめて,O(N^2)のより簡単な部分点を取りに行きました.しかしこれもバグりました.30 分経過後,やばいと思ってさらに簡単な O(N^3)の部分点を取りに行きました.でもこれもバグりました.残り 10 分の段階で,悲しみに包まれながら O(N^4) を書き始めます.そして・・・,駄目でした.結局この問題で 0 点を獲得してしまいました.春合宿の段階から,部分点を取れないことが自分の弱点であることはわかっていたはずなのですが,このような大舞台でまたやらかしてしまいました.競技終了後はしばらく茫然としていた気がします.
解析終了後は,カザン・クレムリンの観光に再び行きました.ですが,一度見たところである上に,競技後の気分の落ち込みも相まって,ただただ疲れるだけという感じでした.
次の日は,午前に sport in Kazan というものが予定されていました.スポーツする気はなかったのですが,見るだけということで行くことにしました.ところが待っていたのは,強い日差しの中でサイクリングロードを歩くというイベントでした.これによって,速攻で体力が奪われてしまいました.
午後はお祭りがあったようなのですが,疲れていたのでパスして,お部屋でのんびり過ごしました.あと,部分点を取る練習として,IOI の過去問の部分点解法を書いていました.
競技 2 日目は,まあまあという感じでした.まず,1 問目の 80 点解法が一瞬でわかったので書きました.残り 20 点ももうちょっと考えればできそうな気がしましたが,まあ 20 点だしいいやと思って後に回しました.2 問目は日本人得意問題で,自分もすぐにわかって満点が取れました.3 問目は,しばらく満点解法を考えていましたが,全然わかりませんでした.典型テクで 60 点まで部分点が取れるとわかったので,とりあえずそれを書くことにしました.自分の記憶があっていれば,この時点で 2 時間 30 分残っていたはずなのですが,この部分点を実装終わったとき,残り 10 分くらいになっていました.ちゃんと 60 点は得られましたが,自分の感覚では1時間くらい余らせている気がしていたので,そこのずれを直さないといけないなあと思います.というか,実装中は一切時計を見ていなかったので,運が悪ければ,実装中に突然コンテストが終了する最悪な展開になっていてもおかしくはありませんでした.最終的な結果は銀の真ん中くらいで,昨日の段階で銅メダルだったことを考えればとりあえずは安心という感じでした.
この日の解析終了後は,競技 1 日目の苦い記憶があったため,午後のエクスカージョンをパスしました.結果に寄らずみんな疲れた様子で,ぼーっとしていたらいつの間にか夕食の時間になっていました.
次の日は,午前午後通して外に出ていました.まず午前は,よくわからないアトラクションをいくつか回るといった内容でした.しかり,よくわからなかったので,よくわからないまま終わってしまいました.
午後は,大きい川の中州か半島らしきところに行きました.静かに川を眺める系のイベントを期待していたら,川とは関係なしの謎のどんちゃん騒ぎが始まってしまいました.なので,日本チームだけそこから離れて,川を静かに眺めていました.日本では見ることのできない景色が見ることができたのでよかったです.
次の日は,午前中はお部屋で荷造りしながらゆっくり過ごしました.
午後は,閉会式のあと,フェアウェルパーティーがありました.閉会式は,いろいろな偉い人が出てくるなあ思っていたら,谷先生が出てきてすごいなあと思いました.フェアウェルパーティーは,すぐ隣の人との会話が成立しないレベルでの大音量の音楽の中での食事でした.日本人は全員向いていないという感じでした.しかし,向かいに座っていた香港のチームも同じような様子で,パーティー後には音についての文句で盛り上がりました.
次の日は,飛行機を乗り継いで日本に帰りました.乗り継ぎをするモスクワで時間が余ったので,みんなは散策に出かけたのですが,僕と IC の原さんは疲れていたので,シェレメーチェヴォ国際空港に残りました.空港内にこの空港の歴史博物館があって,原さんの提案で行くことにしたのですが,間違えて Staff Only の場所に入りそうになるなどして探すのに手間取っていたせいで,見つけたときにちょうど閉館してしまい,見ることができず残念でした.
僕からみた今回の IOI はだいたいこんなふうだったと思います.全体的に,すぐ疲れてごろごろする,という感じです.もう少し気力と体力があればなあと思います.気力の方は金メダルでも取れればテンション上がってどうにかなりそうです.体力は日々の鍛錬が必要ですね.どちらにせよ精進が必要そうです.これを来年の課題にしたいと思います.
いろいろありましたが,今回の IOI が僕にとって貴重な経験であることは間違いありません.大会を支えてくださったすべての方に,この場を借りて感謝の気持ちを表したいと思います.本当にありがとうございました.
最後に,今回の IOI では随行員の被写体力が生徒より格段に高く,生徒が随行員の写真ばかりをとっていました.そのため,写真速報に使うための生徒の写真が少なくて随行員が困っていました(ごめんなさい).僕を含め,来年の IOI 代表を目指す人には今後,高い被写体力が求められてくるのではないかと思います.
- 増田 隆宏 (筑波大学附属駒場高等学校3年)
・競技について
IOI は 2 回目だったんですが,去年と比べて得点も順位もメダルの色も悪くなってしまい,かなり悔しいです.高校三年生なので,残念ながら今回が最後の参加ですが,反省すべき点は多いかなと思います.競技 1 日目も競技 2 日目も,部分点の確保がきちんと出来ていなかったと感じています. また,自分の実力不足な点も多いと思っています.ただ,自分にとって簡単な問題を先に片付けることはできたので,そのあたりの戦略は良かったと思います.今後に向けて今回の反省点を様々な形で生かせていけたらなあと思います.
・競技以外のいろいろなことについて
思っていたよりも暑く,朝に明るくなる時間がとても早く,夜に暗くなる時間がとても遅く,とても驚きました.特に,朝はすぐに外が明るくなってしまうので,慣れるのに時間がかかりました.また,成田空港からモスクワのシェレメチェボ空港を経由してカザンまで行く,移動時間の長さには疲れました.時差は少しつらかったですが,競技前には慣れることができてよかったです.カザンの町は多様さにあふれているなあという印象でした.歴史的な建造物が多い,きれいな町でした.今の日本にはほとんどないトロリーバスや,本当に大きな川であるヴォルガ川などは非常に興味深かったです.ヴォルガ川に面した港は,まるで海に面した港のような光景でとても強く印象に残っています.ですが,結構日本が恋しくなったりもしました.やはり自分にとって一番過ごしやすいのは日本なんだろうなあと思いました.
・まとめ
残念ながら今回が最後の参加ですが,これからの日本代表の活躍が楽しみです.今回の様々な経験をうまく生かしていけたらなあと思います.随行員の方々をはじめ,皆様本当にありがとうございました.