- 日時 2013年8月26日(月)午後 〜 8月30日(金)午後 (4泊5日)
- 場所
国立女性教育会館
〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728番地
- 参加者 26名
- スケジュール
スケジュールは変更される可能性があります.最新の情報はこのページでお知らせします.
8月26日(月)
15:30 集合・受付開始
16:00〜18:00 打ち合わせ・班決め,セミナー(1)
18:00〜19:00 夕食
19:00〜21:00 セミナー(2)
23:00 就寝
8月27日(火)
7:00 起床
7:30〜 8:30 朝食
9:00〜12:00 セミナー(3)
12:00〜13:00 昼食
13:00〜16:00 講義(1) 伊藤大雄 先生(電気通信大学大学院情報理工学研究科教授)
16:30〜18:00 セミナー(4)
18:00〜19:00 夕食
19:00〜21:00 セミナー(5)
23:00 就寝
8月28日(水)
7:00 起床
7:30〜 8:30 朝食
9:00〜12:00 セミナー(6)
12:00〜13:00 昼食
13:00〜13:30 国立女性教育会館による講義
13:30〜18:00 セミナー(7)
18:00〜19:00 夕食
19:00〜21:00 セミナー(8)・交流
23:00 就寝
8月29日(木)
7:00 起床
7:30〜 8:30 朝食
9:00〜12:00 発表準備(1)
12:00〜13:00 昼食
13:00〜14:00 発表準備(2)
14:00〜15:30 講義(2) 田辺隆人 先生(株式会社数理システム数理計画部部長)
15:30〜18:00 発表準備(3)
18:00〜19:00 夕食
19:00〜21:00 発表準備(4)
23:00 就寝
8月30日(金)
9:00〜12:00 発表会(1)
12:00〜13:00 昼食
13:00〜15:00 発表会(2)
15:30 解散
- セミナーで使用するテキスト
夏季セミナーでは以下のテキストを使います.数人ずつのグループに分かれてテキストを輪講し,自分たちで考えて議論したり実際にプログラムを作ったりします.
セミナーでの勉強の成果を最終日にプロジェクタで発表します.
セミナーのテキストは情報オリンピック日本委員会が用意します.
- 『集合知プログラミング』 (Toby Segaran (著), 當山 仁健 (翻訳), 鴨澤 眞夫 (翻訳))
この本では,機械学習のアルゴリズムや統計手法を用いることで膨大なデータを分析,解釈する方法について学びます.集合知を利用したものは Web サービスに多く,サーチエンジンやソーシャルブックマークなどが代表的です.この本には多くの方法が紹介されているほか,Web API を使うことでウェブのユーザによって生み出されたデータを取り扱う方法についても解説されています.セミナーでは,本で紹介されているさまざまな手法を学び,学んだ手法を使って実際に Web の膨大なデータを取り扱ってみることができるでしょう.
- 『近似アルゴリズム』 (Vijay V.Vazirani (著), 浅野 孝夫 (翻訳))
情報科学の問題には厳密解を多項式時間で求めることが難しい問題が数多くあります.近似アルゴリズムは,これらの諸問題に対し,必ずある定数倍より厳密解から悪くならない解を高速に出力するアルゴリズムです.この本では,巡回セールスマン問題やナップサック問題,最小k-カット問題などのいろんな問題に対する近似アルゴリズムや,得られた解が厳密解に対しどれだけの近似となっているかなどについて学ぶことができます.
- 『型システム入門 −プログラミング言語と型の理論−』 (Benjamin C. Pierce (著), 住井 英二郎 (監訳), 遠藤 侑介 (翻訳), 酒井 政裕 (翻訳), 今井 敬吾 (翻訳), 黒木 裕介 (翻訳), 今井 宜洋 (翻訳), 才川 隆文 (翻訳), 今井 健男 (翻訳))
この本は,プログラミング言語で用いられる型システムの理論的背景を説明しています.この本は目的にあわせて読み方を決められるので,高度な型システムを勉強することもできる一方,簡単な型推論を実際に実装してみるということも可能です.
- 『コンピュータ・ジオメトリ―計算幾何学:アルゴリズムと応用』 (Mark De Berg (原著), Mark Overmars (原著), Mark van Kreveld (原著), Otfried Cheong (原著), 浅野 哲夫 (翻訳))
幾何学的な問題に対するアルゴリズムの知識は,競技プログラミングだけではなく,実用的なプログラムを書く上でも重要です.本書は,凸包やボロノイ図の求め方など様々な幾何アルゴリズムが学習できる,計算幾何学の分野の本格的かつ実践的な入門書です.
- 『ゲーム開発者のためのAI入門』 (David M. Bourg (著), Glenn Seemann (著), 株式会社クイープ (翻訳))
AI,作ってみませんか? この本ではゲームAIの作り方が解説されています.内容は少し対人用AIに寄っていますが,対AI用のAIの作成にも十分使えると思います.この本を選ぼうと思っている人は事前にAIを作りたいゲームを考えたり作ったりしておくとより有意義なセミナーになると思いますが,考えていなくてもチューターがゲームを用意しておく予定なので大丈夫です.
- 『暗号理論入門 原書第3版 − 暗号アルゴリズム,署名と認証,その数学的基礎』 (Johannes A. Buchmann (著), 林 芳樹 (翻訳))
この本では,基本的な現代暗号手法と,それらに必要となるアルゴリズムや数学的事項を学ぶことができます.具体的には,DES 暗号,RSA 暗号,デジタル署名などの話題を扱います.またそれらの数学的な基礎として,素数判定や素因数分解なども扱います.アルゴリズムを実際にコンピュータ上で実装しての演習も予定しています.
- 『グラフ理論』 (Reinhard Diestel (著), 根上 生也 (翻訳), 太田 克弘 (翻訳))
この本では,グラフ理論の基本的な用語の解説から始まり,マッチング,彩色,フロー,ハミルトン閉路の項目の理論的な部分が深く掘り下げて解説されています.夏季セミナーでは数日間で発表できる程度の範囲を扱うことになりますが,この本はそれ以降の各自の発展学習にも適していることでしょう.
- 『すごいHaskellたのしく学ぼう!』 (Miran Lipovaa (著), 田中 英行 (翻訳), 村主 崇行 (翻訳))
Haskellという関数型言語に入門するための本です.説明が親切で簡単なコード例を示しつつ話が進んで行くので,理解を深めながら学習を進めていけます.また,型や遅延評価,モナド等のむずかしい概念にも自然に慣れていけるように構成が工夫されていて,イラストもかわいいので楽しみながら読み進めて行くことが出来ると思います.
- 講義概要
夏季セミナー中に 2 回の講義を行う予定です.予定は変更される場合があります.詳細は決まり次第このページでお知らせします.
- 8月27日 (火) 13:00〜16:00
- 講師 伊藤大雄氏 (電気通信大学大学院情報理工学研究科教授)
- タイトル 『ビッグデータ時代の高速アルゴリズムと計算限界の理論』
- 講義概要
ビッグデータ時代を迎え,ペタ,エクサといった単位のデータを相手にしなければならなくなり,アルゴリズムの高速性がますます重要になってきている.これまでは多項式時間のアルゴリズムならば早い,というパラダイムの下で研究が進められてきたが,ビッグデータ相手の場合は線形あるいは劣線形時間で動作するアルゴリズムが求められる.一方,これこれの問題はこれ以上の早さではどうしても解く事ができない,という計算限界の理論は1970年代のCookの定理から始まり,その後の大発展を経て,今,そのビッグバンの前夜にあると言われている.そのため,我が国でも「ビッグデータのためのアルゴリズム研究」や「計算限界の理論」に関する大型プロジェクトが次々と立ち上がっている.本講義では,それらの研究の基礎理論の解説をするとともに,最先端研究の紹介も行う.
- 8月29日 (木) 14:00〜15:30
- 講師 田辺隆人氏 (株式会社数理システム数理計画部部長)
- タイトル 『数理計画法という仕事』
- 講義概要
数理計画法とは,方針を決める/手段を選ぶ/スケジュールを組む,など,実務に現れる諸問題に数理モデル化とアルゴリズムを使って答を出そうとする手法である.60年余りの先人達の努力により,様々なパターンの数理モデルを攻略するアルゴリズムが編み出されてきた.特にこの10年を見ると潤沢な計算機資源を背景に,数理計画法が存在感を増し,エネルギーやインフラ保守の世界などに広く適用されつつある.しかし,実務の世界は十分に複雑かつ大規模で,数理モデル化はできるが厳密に解けるとは限らない問題,そもそも数理モデル化自体が難しい問題が容易に現れる.仕事としての数理計画法は,限られた計算機資源で実務家が納得行く答を得ることが目的となるが,そのためには,現場と対話に基きながら先人の知恵に裏づけられた技術的な創意工夫を凝らす必要がある.幾つかの実例とともにその具体的な内容を紹介する.