情報オリンピック 夏季セミナー2020 実施の概要
昨今の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ慎重に検討した結果,合宿形式で実施した場合に参加者の皆さんの安全を確保することが難しいと判断し,今年の『夏季セミナー』は完全オンラインで実施することとなりました.(7/9)
- 日程
2020年7月19日(日) 午後 (オンライン実施)
2020月8月25日(火) 午後 ~ 8月28日(金) 午後 (オンライン実施)
- 場所 今年の『夏季セミナー』ではすべての行事をオンラインで実施します.
- 参加者 約25人(予定)
- スケジュール
事前実施 (オンライン実施)
7月19日(日)
13:00~18:00 打ち合わせ・班決め・交流
セミナー (オンライン実施)
8月25日(火)
15:30 集合
16:00~18:00 セミナー(1)
19:00~21:00 セミナー(2)
8月26日(水)
9:00~12:00 セミナー(3)
13:00~15:30 講義(1) 藤井海斗 先生(国立情報学研究所 助教)
16:00~18:00 セミナー(4)
19:00~21:00 セミナー(5)・交流
8月27日(木)
9:00~12:00 発表準備(1)
13:00~15:30 講義(2) 渡部有隆 先生(会津大学 上級准教授)
16:00~18:00 発表準備(2)
19:00~21:00 発表準備(3)
8月28日(金)
9:00~12:00 発表会(1)
13:00~15:00 発表会(2)
15:30 解散
- セミナーで使用予定のテキスト
数人ずつのグループに分かれてテキストを輪講し,自分たちで考えて議論したり実際にプログラムを作ったりします.セミナーでの勉強の成果を最終日にプロジェクタで発表します.
使用するテキストは7月19日の班決めの時に決定します.希望者が多い場合はテキストが希望通りにならない場合もあります.
テキストは情報オリンピック日本委員会が用意して,合宿前までに参加者に送付する予定です.参加者が用意する必要はありません.
テキストは変更になる可能性があります.変更になったらこのページでお知らせします.
- 『数値計算の常識』 (伊理正夫(著), 藤野和建(著))
コンピューターの実数計算では誤差がつきものです.理論的には正しい計算法でも,実際に計算すると誤差の関係で正しい答えにならないことがあります.本書では豊富な実例を用いて誤差の怖さを教えてくれます.微分方程式や行列といった難しい内容も含まれますが,セミナー中に必要な知識を補うので安心して参加してください.
関連するキーワード: 数値誤差 誤差評価
- 『量子コンピュータ入門(第2版)』 (宮野健次郎(著), 古澤明(著))
量子コンピューターとは,今現在世界で主に使われている古典コンピューターとは違い,量子計算によって情報を取り扱う計算機のことです.本書では特に,いわゆる「万能型量子コンピューター」と呼ばれる,量子ビットと量子論理ゲートを使った計算機について取り扱っています.古典コンピューターでは膨大な時間がかかる素因数分解計算などのアルゴリズムも,量子コンピューターを使うとビット数の多項式時間で解けるようになることが理論的に分かっています.本セミナーを受けるにあたって,量子力学に関する事前知識は全く必要ありません.また,ベクトルや複素数の知識があると入りやすいかもしれませんが,必要な知識は適宜チューターがサポートします.
関連するキーワード: 量子計算機 アルゴリズム
- 『高速文字列解析の世界――データ圧縮・全文検索・テキストマイニング』 (岡野原大輔(著))
現代では多くの情報が文字列として表現されています.例えば大規模なテキストの処理やゲノム配列の解析など,様々な分野で高速な文字列解析の技術が求められています.本書では文字列解析に関する様々な理論やデータ構造などを知り,それらを活用したデータ圧縮やデータ分析などの実践手法について学ぶ事ができます.また,簡潔データ構造やウェーブレット木などと組み合わせて処理する手法も取り扱っています.本セミナーを受けるにあたって,既に高度な文字列アルゴリズムを知っている必要はありません.また,必要な知識は適宜チューターが補いますので安心して参加してください.
関連するキーワード: 文字列アルゴリズム 簡潔データ構造
- 『簡潔データ構造』 (定兼邦彦(著))
昨今,大量のデータが蓄積・活用されているため,時にデータを圧縮する必要があります.しかし,むやみに圧縮してしまうと,検索の度にデータを展開する必要が生じ,非効率です.そこで,高速に検索ができる状態を保ちつつデータが圧縮された「簡潔データ構造」の意義が高まっています.本書では,様々な簡潔データ構造について学ぶことが出来ます.
関連するキーワード: データ構造 圧縮 ビットベクトル 木構造 文字列
- 『関数プログラミング入門 ―Haskellで学ぶ原理と技法―』 (Richard Bird (著), 山下伸夫 (翻訳))
関数型プログラミング言語とは,今現在世界で主に使われている手続き型プログラミングとは違い,関数によって情報を取り扱うタイプのプログラミング言語のことです.C言語などのような手続き型プログラミング言語とはかなり勝手が違います.本セミナーを受けるにあたって,関数型言語に関する事前知識は全く必要ありません.また,必要な知識は適宜チューターがサポートします.
併せて,今話題のマルコフアルゴリズムに関するセミナーを行います.マルコフアルゴリズムとは,記号の文字列に対して一種の文法的規則を適用していく文字列書き換え系です.チューリング完全です.特に必要な知識はありません.安心して参加してください.
こちらの不手際により,マルコフアルゴリズムの本を用意できませんでした.マルコフアルゴリズム自体は本が無くても可能な分野なので,今回はマルコフアルゴリズムと,本が用意できる関数型言語両方を行います.
関連するキーワード: 関数型言語 Haskell マルコフアルゴリズム 文字列書き換え系
- 講義概要
夏季セミナー中に情報科学に関する講義を行う予定です.詳細は決まり次第このページでお知らせします.
- 8月26日(水) 13:00~15:30 (講義1)
- 講師 藤井海斗 先生(国立情報学研究所 助教)
- タイトル 劣モジュラ最適化入門
- 講義概要 概要:劣モジュラ最適化は,組合せ最適化の中心的な枠組みであり,さまざまな分野に応用をもちます.本講義では,劣モジュラ最適化の基礎を紹介します.劣モジュラ関数の定義と性質,具体例,最小化と最大化に関する基本事項を扱います.
- 8月27日(木) 13:00~15:30 (講義2)
- 講師 渡部有隆 先生(会津大学 上級准教授)
- タイトル オンラインジャッジシステムの開発と運用
- 講義概要 講義概要:オンラインジャッジシステムの開発と運用について,Aizu Online Judge (AOJ) の開発経緯や内部構造の仕組みを含めながらお話しします.WEBサービスの構造や開発手法の話題にも触れますので,情報システムの開発に関する勉強の参考にもなると思います.
後半はAOJのアリーナを用いてプログラミングの演習を行います.