情報オリンピックとは
1.国際情報オリンピック
現在日本からは、高校生以下の生徒を対象とする次の7つの国際科学オリンピックに代表生徒が参加しています。
- 数学 ・・・ 1959年から(日本は1990年から参加)
- 物理 ・・・ 1967年から(日本は2006年から参加)
- 化学 ・・・ 1968年から(日本は2003年から参加)
- 情報 ・・・ 1989年から(日本は1994~1996年参加、2006年から参加再開)
- 生物 ・・・ 1990年から(日本は2005年から参加)
- 地理 ・・・ 1996年から(日本は2007年から参加。2012年から毎年開催)
- 地学 ・・・ 2007年から(日本は2008年から参加)
国際情報オリンピック(International Olympiad in Informatics, IOI)は1989年にブルガリアで第1回が開催されて以来、2008年のエジプト大会で20回を数えます。
IOIの目的は、IOIの規約に
The main objectives to be accomplished by the IOI are:
- To discover, encourage, bring together, challenge, and give recognition to young people who are exceptionally talented in the field of informatics.
- To foster friendly international relationships among computer scientists and informatics educators.
- To bring the discipline of informatics to the attention of young people.
スポーツオリンピックと同様に、立候補した国の中から投票で開催国が選ばれます。
毎年約70~80ヶ国が参加し、各国は選手を4人まで出すことができます。
競技は個人選で、1日5時間で3問または4問を解くことを計2日行ないます。
与えられた問題を解くためにアルゴリズムを考え、それに基づいてプログラムを書き、実際にコンピュータ上で実行させて出力した結果の正しさを競います(プログラムを書かない問題が出題されることも、アルゴリズムの効率の良し悪しにより相対的に評価される問題が出題されることもあります)。使用メモリ量および実行時間に厳しい制限があり、思いつくままに書いたプログラムでは時間内に答が出ないような問題がほとんどであり、良いアルゴリズムを設計するための高い数理的能力がプログラミング技能以上に求められています。
実際、
IOIの規約では「Informatics (情報学)」のスコープが次のように定められています:
In the scope of the IOI, the concept "Informatics" means the domain that is also known as computer science, computing science and information technology, but not the domain computer engineering.
使用できるプログラミング言語は、2005年度までは C/C++, Pascal だけでした(それ以前は、BASIC や Logo が使えた時期もありました)。2006年度からは C/C++, Java だけになることが決まっていましたが、2006年以降も結局、C/C++, Pascal だけです。
過去の開催国と将来の開催予定国
回数 | 年 度 | 開 催 国 | 都 市 | 参加国 | 参加選手 | 日 本 の 参 加 |
1 | 1989.5.16-19 | ブルガリア | プラベツ (Pravetz) | 13 | ||
2 | 1990.7.15-21 | ベラルーシ(ソ連) | ミンスク (Minsk) | 25 | ||
3 | 1991.5.19-25 | ギリシャ | アテネ (Athens) | 26 | ||
4 | 1992.7.11-21 | ドイツ | ボン (Bonn) | 51 | ||
5 | 1993.10.16-25 | アルゼンチン | メンドーサ (Mendoza) | 43 | オブザーバー派遣 | |
6 | 1994.7.3-10 | スウェーデン | ハニンゲ (Haninge) | 49 | 選手2名派遣。銀メダル2 | |
7 | 1995.6.26-7.3 | オランダ | アイントホーヘン (Eindhoven) | 51 | 選手2名派遣。金メダル1、銅メダル1 | |
8 | 1996.7.25-8.2 | ハンガリー | ヴェツプレム (Veszprem) | 57 | 選手2名派遣 | |
9 | 1997.11.30-12.7 | 南アフリカ | ケープタウン (Cape Town) | 63 | ||
10 | 1998.9.5-12 | ポルトガル | セツバル (Setubal) | 68 | ||
11 | 1999.10.9-16 | トルコ | アンタリヤベレク (Antalya-Belek) | 65 | ||
12 | 2000.9.23-30 | 中国 | 北京 (Beijing) | 72 | ||
13 | 2001.7.14-21 | フィンランド | タンペール (Tampere) | 74 | 272 | |
14 | 2002.8.18-25 | 韓国 | ヨンイン (Yong-In) | 78? | 276 | |
15 | 2003.8.16-23 | アメリカ | ケノーシャ (Kenosha) | 69 | ||
16 | 2004.9.11-18 | ギリシャ | アテネ (Athens) | 81 | ||
17 | 2005.8.18-25 | ポーランド | ノヴィソンチ (Nowy Sanz) | 72 | 276 | オブザーバー派遣 |
18 | 2006.8.13-20 | メキシコ | メリダ (Merida) | 76 | 284 | 選手4名派遣。金メダル2、銅メダル1 |
19 | 2007.8.15-22 | クロアチア | ザグレブ (Zagreb) | 77 | 285 | 選手4名派遣。金メダル1、銀メダル1、銅メダル1 |
20 | 2008.8.16-23 | エジプト | カイロ (Cairo) | 73 | 283 | 選手4名派遣。金メダル1、銀メダル1、銅メダル2 |
21 | 2009.8.8-8.15 | ブルガリア | プロヴディフ (Plovdiv) | 80 | 301 | 選手4名派遣。金メダル2、銀メダル1、銅メダル1 |
22 | 2010.8.14-8.21 | カナダ | ウォータールー (Waterloo) | 80 | 300 | 選手4名派遣。金メダル2、銀メダル2 |
23 | 2011.7.22-7.29 | タイ | パタヤ (Pattaya) | 78 | 302 | 選手4名派遣。金メダル1、銀メダル3 |
24 | 2012.9.22-9.29 | イタリア | シルミオーネ (Sirmione) | 81 | 310 | 選手4名派遣。金メダル1、銀メダル3 |
25 | 2013.7.6-7.13 | オーストラリア | ブリスベン(Brisbane) | 78 | 302 | 選手4名派遣。金メダル1、銀メダル2 |
26 | 2014.7.13-7.20 | 台湾 | 台北(Taipei) | 81 | 311 | 選手4名派遣。金メダル1、銀メダル2、銅メダル1 |
27 | 2015.7.26-8.2 | カザフスタン | アルマトイ | 83 | 322 | 選手4名派遣。金メダル3、銅メダル1 |
28 | 2016.8.12-8.19 | ロシア | カザン | 80 | 308 | 選手4名派遣。金メダル2、銀メダル2 |
29 | 2017.7.28-8.4 | イラン | テヘラン | 83 | 308 | 選手4名派遣。金メダル3、銀メダル1 |
30 | 2018.9.1-9.8 | 日本 | 茨城県つくば市 | 87 | 335 | 選手4名派遣。金メダル1、銀メダル1、銅メダル2 特別参加4名。金メダル相当1、銀メダル相当2、銅メダル相当1 |
2010年 IOI カナダ大会参加(選手派遣)国
Albania, Argentina, Armenia, Australia, Austria, Azerbaijan, Bangladesh, Belarus, Belgium, Bosnia and Herzegovina, Brazil, Bulgaria, Canada, China, Colombia, Croatia, Cuba, Cyprus, Czech Republic, Denmark, Egypt, Estonia, Finland, France, Georgia, Germany, Ghana, Greece, Hong Kong, Hungary, India, Indonesia, Iran, Ireland, Israel, Italy, Japan, Kazakhstan, Korea, Kuwait, Latvia, Libya, Lithuania, Luxembourg, Macao, Macedonia, Madagascar, Mexico, Moldova, Mongolia, Netherlands, New Zealand, Nigeria, Poland, Portugal, Romania, Russia, Saudi Arabia, Serbia, Singapore, Slovakia, Slovenia, South Africa, Spain, Sri Lanka, Sweden, Switzerland, Syria, Taiwan, Tajikistan, Thailand, Trinidad and Tobago, Turkey, Turkmenistan, Ukraine, United Arab Emirates, United Kingdom, USA, Venezuela, Vietnam.
(IOIのフラッグ)
- IOIの公式ウェブサイト
-
オランダ アイントホーヘン大学内の非公式サイト
(IOIに関する豊富な情報のアーカイブがありますが、 2007年を最後にメンテナンスが行われていません。)
2.日本情報オリンピック
日本情報オリンピック(Japanese Olympiad in Informatics, JOI)は、日本の高校生以下の生徒の中から情報科学的な能力の豊かな生徒を見出し、その才能の育成を助けるとともに、国際情報オリンピックに日本代表選手として派遣するために、特定非営利活動法人 情報オリンピック日本委員会(略称:IOI日本委員会)が主催している事業です。活動母体であるIOI日本委員会は、この事業を軸としつつ、それにとどまらず、数理情報科学に関する調査、研究、普及、啓発活動を行ない、日本の将来にとって必要不可欠である情報産業を支える人材養成に寄与する活動を行なっています。
現在のIOI日本委員会の前身は、(財)数学オリンピック財団の協力の下に1993年に設立されたIOI日本委員会です。同委員会は1994年から1997年までの4年間、IOI国内予選(JOI)を開催し、1996年までの3年間に延べ6名の選手をIOIへ派遣し、金メダル1、銀メダル2、銅メダル1を獲得しましたが、バブル崩壊の影響で1997年以降休止状態にありましたが、2005年から独立行政法人科学技術振興機構(現在は国立研究開発法人)の支援を受けて活動を再開しました。
3.参考資料
(a)日本情報オリンピックの選抜方式
詳細は 実施記録 をご覧下さい。
(b)選抜競技に使った問題
日本情報オリンピック(JOI)および国際情報オリンピック(IOI)の過去問については ここ をご覧下さい。
(c)情報オリンピック日本委員会の概要
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷1-10-7 グローリア宮益坂Ⅲ 301
一般社団法人 情報オリンピック日本委員会
TEL: 03-6681-6591(平日 午前10時〜午後5時)
FAX: 03-6736-0510
公式サイト: https://www.ioi-jp.org/
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